ここでは、正しい楽譜購入方法と楽譜利用について説明させていただきます!
目次
楽譜購入の原則
楽譜は必要な分を購入する必要があります。必要なものを必要な分だけ購入するのは当然のことです。現代では、コピー機を使って簡単に印刷物をコピーすることが可能です。しかし、著作権者の許諾を得ずに楽譜をコピーして人数分に増やす事は出来ません。YMDミュージックから出版されている楽譜は著作権法により保護されており、弊社の許諾を得ずにコピーした楽譜の第三者への配布、譲渡、共有する事はいかなる方法においても禁じられております。
YMDミュージックが楽譜販売する弊社出版作品と他社出版作品
弊社からは弊社が著作権を管理する弊社出版作品と他社が著作権を管理し、編曲出版利用許諾を得て販売している他社出版作品の楽譜を販売しております。
他社出版作品には、国内出版社が著作権を管理している内国作品と海外出版社が著作権を管理している外国作品があります。
他社出版作品は”弊社が出版することを前提とした編曲利用の許諾を得て利用させていただいている形”になり、弊社が出版している作品と同様の販売方法は出来ず、販売方法に限られております。
以下に作品の種類による購入方法を説明致します。
弊社出版作品(作曲作品、著作権消滅作品の編曲作品)
弊社ウェブストアにてフルスコア、パートスコアを1部よりご購入いただけます。セット販売も行っております。
Piascore楽譜ストアにて電子(PDF)楽譜をフルスコア、パートスコアを1部よりご購入いただけます。セット販売は著作権侵害を助長する恐れがあるため行っておらず、バラ売り(単品販売)のみとなります。
他社出版作品(編曲作品)のうち内国作品
弊社ウェブストアでは「フルスコア1部、パートスコアセット」または「パートスコアセット」を販売しております。著作権編曲利用や著作権管理の都合上、弊社ウェブストアでのバラ売り(単品販売)は基本的に行っておりません(フルスコアを単品販売している場合やその他例外あり)。例えば、パートスコアA、B、CのうちAが不足する場合に於いても「パートスコアセット」をご購入頂く必要があります。Piascore楽譜ストアにて電子(PDF)楽譜のフルスコア、パートスコアを1部よりご購入いただけます(一部例外作品があります)。
他社出版作品(編曲作品)のうち外国作品
弊社ウェブストアでは「フルスコア1部、パートスコアセット」のみ販売しております。著作権編曲利用や著作権管理の都合上、弊社ウェブストアでのバラ売り(単品販売)は基本的に行っておりません(フルスコアを単品販売している場合やその他例外あり)。例えば、パートスコアA、B、CのうちAが不足する場合に於いても「フルスコア1部、パートスコアセット」をご購入頂く必要があります。また、電子楽譜の販売は行っておりません。
他社出版作品の販売上の制約について
上記の通り、他社出版作品はバラ売りが出来ない、電子楽譜が販売出来ない等の制約がある場合があります。
特に、外国作品はセット販売しか出来ず、本来より必要以上に楽譜を購入して頂く場合があります。
しかし、外国作品がお客様に楽譜として届くまでに様々な過程があります。弊社は外国作品の日本国内の管理を委託されている出版社や著作権管理事業者に許諾申請を行い、海外の原出版社や著作権管理事業者が代行して申請を行っていただいております。故に、申請に係る様々な経費が発生する、著作権管理事業者の外国作品管理方法の遵守、海外の原出版社や海外のルール等に従う必要があり、販売方法に制約がかかってしまいます。
弊社から他社出版外国作品が出版が出来、容易に皆様の手元に届くのも上記の企業が存在するからと言えます。お客様にご負担をお願いする場合もございますが、上記の事情をご理解の上、楽譜をご購入頂ますようご理解お願いいたします。
実際の合奏作品の楽譜購入のケース別解説
合奏作品の楽譜購入について、「演奏団体代表(担当)者(イベント主催者等)が人数分の楽譜を購入し、演奏者に配布するケース」か「演奏者が楽譜を購入するケース」が考えられます。
弊社出版作品および他社出版作品のうち内国作品の一部
弊社出版作品は両方のケースで対応可能、他社の出版作品のうち内国作品の一部および外国作品は「演奏団体代表(担当)者(イベント主催者等)が人数分の楽譜を購入し、演奏者に配布するケース」で対応可能です。
弊社出版作品は印刷楽譜、電子楽譜両方でパートスコア単品販売(バラ売り)を行っております。他社出版作品のうち内国作品の一部は電子楽譜のみパートスコア単品販売(バラ売り)を行っております。
他社出版作品のうち内国作品の一部および外国作品
都合によりパートスコア単品販売(バラ売り)を行っておりません。例えば、パートスコアA、B、CのうちAが不足する場合に於いても「フルスコア1部、パートスコアセット」をご購入頂く必要があります。上で解説しました他社出版作品の販売上の制約をご一読いただき、ご理解をいただき楽譜の不正コピーを行わないようお願い申し上げます。
楽譜のコピーについて
楽譜をご利用の際、フルスコアやパートスコア(パート譜)が、指揮者、指導者、演奏者等の人数に対して不足している場合、不足分の楽譜は必ずお買い求め下さい。例えば、ご購入頂いた楽譜を原本として著作権者の許諾を得ずにフルスコアやパートスコアをコピー印刷する行為(プルト増し)や、書き写してプルト増しをする行為、楽譜作成ソフト等を使って再作成してプルト増しをする行為、フルスコアを元にパートスコア(またはその逆)を生成する行為は出来ません。
フルスコアやパートスコアから書き写す複製
コピー機が一般的になる前は楽譜を書き写して(写譜)をして楽譜を作っていた時代がありました。しかし、写譜することは複製と同じであり、著作者の許諾を得ずに行うことは出来ません。
楽譜作成ソフトを用いた複製
近年では、楽譜作成ソフトを用いて簡単かつ短時間で楽譜を作成することが出来ます。しかし、楽譜作成ソフト等を使って再作成してプルト増しをする行為も複製行為であり、著作者の許諾を得ずに行うことは出来ません。
演奏団体内の複製
例えば、演奏団体で吹奏楽作品の楽譜を購入した場合、ご購入頂いた楽譜が演奏団体の人数より少なく楽譜が不足していることがあるかもしれません。その場合に於いて、楽譜をコピーして人数分補うことは出来ません。著作権法で個人的または家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用する目的とした私的利用の複製は著作者の許諾を得ずに複製することが出来ると定められておりますが、演奏団体内の複製はは著作権者の許諾を得ずに利用しても良い例外(私的複製)には該当しません。
参加型イベントや演奏会の参加型合奏の際に参加者にイベント開始時に楽譜を配布して終了時に回収する(一時的な複製)場合
たとえ回収して廃棄することを前提としていても楽譜を著作権者の許諾を得ずに複製する事は出来ません。一時的に複製して利用後に処分する形であれ、違法コピーをされたら出版社や著作者が本来得ることが出来る利益を得ることが出来なくなります。必ず必要分の楽譜をご購入下さい。
コンクールやイベントに於いて、主催者や録音業者等から楽譜の提出(提供)を要求された場合
コンクールやイベントに於いて、主催者や録音業者等から楽譜の提出(提供)を要求された場合であっても、著作権者の許諾を得ずに利用しても良い例外(私的複製)には該当せず、一時的な複製(演奏終了後に廃棄)であっても楽譜を著作権者の許諾を得ずに複製することは出来ません。
ピアノ(またはその他楽器)伴奏付作品を演奏することになり、伴奏者の楽譜を準備する場合
伴奏者の楽譜の準備であっても、著作権者の許諾を得ずに利用しても良い例外(私的複製)には該当せず、一時的な複製(演奏終了後に廃棄)であっても楽譜を著作権者の許諾を得ずに複製する事は出来ません。
電子楽譜の購入、利用について
近年、タブレット端末やスマートフォンの普及によって電子楽譜を扱う機会が増えたと思います。情報社会の特徴として「短時間に品質を落とさずに大量に複製が出来る」「SNSや電子メール、大容量送信サービスを用いて、瞬時に大容量のデータを世界中に送信が出来る」といった事が挙げられ、便利な世の中となりました。しかし、楽譜データや音声データは著作物であり、それは著作権法によって保護されています。取り扱い方を気をつけなければ著作権侵害として罰せられる場合もあります。
電子楽譜は印刷された楽譜を貸与する形で共有して演奏することが可能
タブレット端末が普及する前の電子楽譜の利用方法は、自宅等のプリンターで購入した部数内で印刷して利用する方法が一般的だったと思います。複数人数で演奏する楽曲の場合、電子楽譜データを印刷した楽譜をご購入者様以外の演奏者に貸与することが可能です。
電子楽譜データを著作権者の許諾を得ずに電子楽譜を原本として購入数を超える部数を印刷(複製)する行為(プルト増し)は出来ません
吹奏楽編成のような合奏作品(同じ楽譜を複数必要とする)の場合、人数分のデータを購入する必要があります。例えば、Aさんが購入した電子楽譜をBさんやCさんに印刷して貸したり、データを共有することは出来ません。印刷はもちろん、電子楽譜のデータ共有は(データの)複製行為だからです。電子楽譜はご自身が利用するために購入することを想定しており、まとめ買いには適していません。必ずご自身の楽譜はご自身でご購入ください。
電子楽譜データを著作権者の許諾を得ずに第三者(複数人数で演奏する楽曲の各演奏者も含む)に配布する事、共有する事は出来ません
例えば、Aさんが購入した楽譜をBさんに譲渡したいと考えるかもしれませんが、たとえ、譲渡後にAさんがデータ削除をしても何かしらの形で端末に残り、端末から完全に削除するのは難しいと言えます。他の端末に移動する行為の多くは複製(コピー)と言えます。
メール送信やオンラインでのファイル共有サービスなどを用いた電子楽譜の受け渡しは「楽譜データの複製」となりますので著作者の許諾を得ずに行うことは出来ません
郵送だと手元に原稿は残りませんが、電子メールや電子メッセージの場合は送信済みデータとして残ります。つまり、電子メールを用いて楽譜データを送ることは複製となるので注意が必要です。
合奏作品の場合、楽譜を電子データとして共有したくなりますが、共有することが複製行為ですので、電子楽譜の複製許諾手続き等が必要となります。
詳しくはこちらをご覧ください。
楽譜を違法コピーするとどうなるか
楽譜を違法コピーすると出版社、著作者(作編曲者)はもちろん、楽譜を違法コピーした人が不利益を被ることになります。
楽譜は購入されることで出版社、著作者に利益を得ることが出来、その利益を原資に新たな創作活動を行います。
しかし、楽譜を違法コピーするという事は出版社や著作者が本来得ることが出来る利益を得ることが出来なくなります。利益が得られないと、原資が無いので正常な創作活動や、制作・出版活動に困難を来し、新しい作品や皆様の必要とされる作品を創作することが困難になります。新しい作品を世に出せなくなる場合もあります。その結果、演奏者は新しい作品や演奏したい作品の楽譜を手に入れることが出来なくなります。
著作権侵害の罰則等
楽譜は著作権法によって保護されており、著作者の利益を不当に害する権利侵害を行うと、刑事罰を課され(著作権、出版権、著作隣接権の侵害は、10年以下の懲役又は1000万円以下の罰金、著作者人格権、実演家人格権の侵害等は、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金等)、民事請求をされる場合があります。
楽譜を違法コピーする行為について
本来支払うべき対価の支払いを逃れるがために時間をかけて楽譜を作成したり、コピー機を用いてコピーするより、違法コピーに費やす時間は音楽を楽しむ時間を充てた方が良いのではないでしょうか。刑事罰等を課されるリスクを負って違法コピーを行うより楽譜を購入したほうが良いのではないでしょうか。 以上の通り、楽譜の違法コピーは全くメリットがありません。音楽文化の健全な発展のため、違法コピーの防止に皆様のご理解とご協力をよろしくお願い申し上げます。
番外編:「楽譜の不足分のコピーを認めます」と記述のある他社出版社様の楽譜取り扱い
他社出版社様に於いて、「楽譜の不足分のコピーを認めます」と記述のある会社様があるとご意見をいただきました。その場合、”無料でコピーして良い”という意味ではなく、JASRAC等の著作権(出版権)管理者に出版利用手続きが必要です。
JASRAC申請の場合はJ-RAPP申請フォーム中にある”既存の楽譜をコピーして使用”に出版者への連絡なしにチェックを入れて良いという事になります。
著作物を利用する場合、著作者や著作権管理者から利用の許可を得る必要があります。印刷楽譜だと出版(複製)権、電子楽譜だと公衆送信権が関わってきます。
楽譜を正しくご購入いただき、楽譜を正しくご利用頂くことで新たな作品が生まれます。繰り返しになりますが、音楽文化の健全な発展のため、不正コピーの防止に皆様のご理解とご協力をよろしくお願い申し上げます。
関連項目
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