PDF形式のフルスコアを解析し、AIや各種アプリケーション、ツール等を用いて各パート譜を自動生成するサービスが確認されています。
これらのツールを利用し、市販のフルスコアからパートスコアを作成する行為は、著作権法上の複製に該当する可能性があり、原則として権利者の許諾なく行うことはできません。
また、AIや自動化ツールを使用した場合であっても、この法的評価が変わるものではありません。
加えて、市販の楽譜には楽譜発行元より複製・転載は禁止等の利用条件が定められており、これに反する行為は、著作権法上の問題にとどまらず、契約上または民法上の責任が生じる可能性があります。
フルスコア単品販売の目的について
弊社では、指揮者、作曲・編曲者、研究者、教育関係者など、楽曲全体の構造や演奏意図を把握・研究・指導する必要のある方々に対し、適切な形で資料を提供することを目的として、フルスコアのバラ売りを実施いたしております。
フルスコアとパートスコアは用途の異なる楽譜であり、演奏に使用するためのパートスコアについては、従来どおり正規の楽譜をご購入いただくことを前提としています。
フルスコアの販売は、購入者ご自身が当該フルスコアからパートスコアを作成することを想定したものではなく、このような行為は、著作権法その他の関係法令上、権利侵害となる可能性があります。
フルスコア単品販売は、利便性向上と音楽理解の深化を支援するためのものであり、演奏現場におけるパートスコアの代替としての利用を想定したものではありません。
楽譜に係る権利と弊社の楽譜利用方法について
一般に、市販の楽譜を複製・加工する場合、以下の権利・法的関係が及ぶと考えられ、それぞれについて適切な許諾または遵守が必要となります。
- 著作権者
- 著作権(複製権等)
- 楽譜発行元
- 出版契約に基づく権利・営業上の利益
- 契約条件(複製禁止条項等)
- 法律上保護される利益(民法第709条)
- 場合により不正競争防止法上の問題が生じる可能性
- 電子楽譜販売事業者(電子楽譜の場合)
- 販売プラットフォームの利用規約
なお、上記に記載した各権利・法的関係は、相互に代替関係にあるものではなく、それぞれ独立して成立し、重層的に及ぶものです。
例えば、楽曲の著作権の保護期間が満了している場合であっても、当該楽曲を収録した市販の楽譜については、楽譜発行元に関する契約上・営業上の権利や法的保護が及ぶ場合があります。
このため、著作権者からの許諾が不要な場合であっても、楽譜発行元や販売事業者との関係において、別途許諾の取得や契約条件・利用規約の遵守が必要となることがあります。
市販の楽譜を複製・加工・データ化・AI学習等に利用する行為については、関係する各権利主体および法的枠組みごとに、個別に適法性・許諾の要否を検討し、適切な対応を行うことが求められます。
YMDミュージックが発行する楽譜について、印刷楽譜、電子楽譜ともに、楽譜の複製に関して、ご申請をいただいた場合であっても、複製については許諾しておりません。
弊社発行楽譜は、弊社が著作権を有する作品はすべての作品で、他者が著作権を有する作品は外国作品と一部の内国作品を除くほぼすべての作品でフルスコア・パートスコアのバラ売りを実施いたしております。
無断利用が発生した場合の影響について
市販楽譜の無断複製や無許諾利用が継続した場合、弊社としては、やむを得ず以下のような対応を検討せざるを得なくなる可能性があります。
まず、フルスコア単品販売を前提としたビジネスモデルの維持が困難となり、現在行っているフルスコアやパートスコアのバラ売り販売の中止や、楽譜価格の見直し(値上げ)につながるおそれがあります。
また、こうした影響は弊社一社にとどまらず、同様の課題を抱える他の楽譜出版社にも波及し、結果として楽譜の入手性の低下や、制作点数の縮小を招く可能性があります。
楽譜が不正に利用されてしまいますと、新たな作品や良質な版の提供が難しくなり、最終的には音楽業界全体、ひいては音楽文化そのものの衰退につながりかねません。
お願い
音楽文化を次世代へ継承していくためにも、フルスコアおよびパートスコアは、それぞれの用途に応じて正規の楽譜をご購入いただきますよう、ご理解とご協力をお願い申し上げます。
楽譜の利用方法に関するコラムのご紹介
YMDミュージックでは、安心して楽譜を取り扱っていただくために、楽譜の正しい利用方法に関するコラムを掲載いたしております。
YMDミュージックアカデミーでは、音楽を扱う人々が抱える著作権に関する悩みや不安(権利処理、正しい利用方法など)を、実務に即して寄り添いながら解決・解消することを目的とした、音楽著作権実用講座を自由予約制にて実施いたしております。
皆様のご利用をお待ちいたしております。

