【作品紹介】山田悠人さんと『道化師の朝の歌』(執筆:中野明様)

弊社では随時ブログを通じて作品紹介を行っておりますが、新しい視点からの作品紹介として実際に作品を演奏してくださった方や携わった方に執筆を依頼するという新しい紹介スタイルを行うことにしました。
第1回目となる今回は《道化師の朝の歌[Sax.6]》の演奏音源のレコーディングに携わり、編曲者山田悠人と長いお付き合いがある中野明様に執筆を依頼しました。
中野様は「The Sax」をはじめとする専門誌・メディアにも寄稿されており、お名前を知っている方も多いかと思います。
是非御覧ください!

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私が山田悠人さんと知り合ったのはいつのことか、今となってははっきりとは覚えていないが、私がよく聴きに行くサクソフォン絡みの演奏会やライブの客席で、数年前からかなりの高確率で姿をお見かけするようになり、たくさんいた共通の知人を介して話をしたのが最初だったと思う。ご自身はサックス吹きではなく、作編曲を専門とされているということは、お話をするようになってから知ったことだった。
それらの演奏会場でいくつか聴いた山田さんの作品は、私自身の、そして世の一般的なサックス吹きの嗜好にもおそらく近い、フランス音楽風の和声に印象的に彩られたもので、そのような経緯から、私は山田さんのことを、「作曲家」というよりはもっと近しい仲間のようなイメージで最初から見ていたし、おそらくは私の仲間たちの多くもそうだろうと思う。
そんな山田さんからある日、山田さんの編曲作品「道化師の朝の歌」(ラヴェル作曲)のデモ音源録音・制作の依頼が私たちのアンサンブル宛に届いたのは、とても光栄なことであり、同時にチャレンジングな事態だった。
6分ほどの小品ながら、「スイスの時計師」と呼ばれたラヴェルの精緻な作風と、楽譜を正確に再現することによって楽譜を超えた自由さとファンタジーを再現する、という、フランス音楽の演奏に必要な真理の小さな見本のような作品であり、原曲にあるトリプル・タンギングなどの難技巧はやや緩和されているが、6本のサクソフォン、という編成の可能性を大幅に駆使した編曲でもあった。
そのような次第で、六重奏という編成の特殊性もあり、当初想定した制作期間より延びてしまったものの、これの練習に費やした期間はたいへん充実したものとなり、私たちの日頃の練習会場に録音機材を持ち込んでの実際の録音セッションも含め、実に貴重な経験だった。
山田さんは、私たちのアンサンブルの年一回の定期演奏会にはいつもご来場いただいているし、最近も別の編曲作品をこちらから委嘱させていただくなど、友好的なコラボレーションが続いているのは嬉しくも有難いことだ。そんな山田さんとの最初の協働作業の記念ともいうべき一曲である。

・道化師の朝の歌
編成:サクソフォーン6重奏
作編曲者:モーリス・ラヴェル(山田悠人)
印刷楽譜 電子(PDF)楽譜 演奏音源

執筆:中野 明(なかの あきら)
アマチュア・サクソフォン奏者、音楽愛好家。「サクソフォン・アンサンブル なめら~か」主宰。演奏活動とともに年間130~150回のコンサートを聴き歩く。「Thunderさん」の異名でウェブ界では古くから知られ、「The Sax」をはじめとする専門誌・メディアへも寄稿多数。
http://thunder-sax.cocolog-nifty.com/diary/

・中野様出演演奏会情報
■サクソフォン・アンサンブル なめら~か 第18回定期演奏会■
2018年10月6日(土)、18時開演、入場無料
W.A.モーツァルト:歌劇「魔笛」より
L.ドリープ:バレエ音楽「コッペリア」より
高橋宏樹:グリムの古城
http://nameraka.la.coocan.jp/sax/

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